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医者が自己破産したらどうなる?債務整理で医師免許を剥奪されることはありません!

医者が自己破産しても、それだけを理由に医師免許が取り消されることはありません。自己破産には資格制限がありますが、医師はその対象に含まれていないため、破産手続中や免責許可決定後であっても医師として働き続けることが可能です。

ただし、自己破産をすると一定の財産が処分され、一定期間はローンやクレジットカードの利用が難しくなります。開業医の場合は、クリニックの経営に影響する可能性があります。

この記事では、医者が自己破産した場合の医師免許や勤務への影響、勤務医と開業医の違い、自己破産以外の債務整理などを解説します。

自己破産の資格制限に医師は含まれていない

自己破産をすると一部の職業や資格には制限が生じます。ですが、医師は自己破産の資格制限の対象ではありません。ですので、自己破産後も医師免許を利用して診療業務を続けられます。

ここでは、自己破産の資格制限について解説します。

資格制限とは

自己破産の資格制限とは、破産手続開始決定を受けてから復権するまでの間、特定の資格や職業ができなくなる制度です。もちろん、資格が永久になくなってしまうというわけではありません。

資格制限の対象となる職業には、弁護士、税理士、司法書士、警備員、生命保険募集人などが含まれています。この資格制限の対象となる人は、破産手続中、一時的に該当する業務を行えなくなります。

ですが、医師は自己破産による資格制限の対象に含まれていません。つまり、自己破産を申し立てた後も、病院やクリニックで診察を続けられます。

当然ですが、自己破産で医師免許の更新手続や再取得が必要になるということもありません。医者が自己破産したという事実だけを理由に、診療を禁止されたり、医師免許を取り上げられたりすることはないのです。

医師免許が与えられない場合

医師免許が与えられない可能性のあるケースは、医師法第4条に定められています。

医師法第4条では、次のいずれかに該当する者には、免許を与えないことがあると規定されています。

・心身の障害により医師の業務を適正に行うことができない者

・麻薬、大麻またはあへんの中毒者

・罰金以上の刑に処せられた者

・医事に関して犯罪または不正行為を行った者

医師法でも、自己破産や破産手続開始決定は医師免許を与えない理由に含まれていません。

そして、医師に対する行政処分は、医師法第7条に規定されています。 この法律では、医師としての品位を損なう行為があった場合に、戒告、医業停止または免許取消しの処分ができるとされています。ですが、自己破産は法律で認められた債務整理の方法であり品位を損なうというものではありません。

したがって、自己破産を理由に医師免許が取り消されるわけではありません。

参考 医師法4条  e-Gov法令検索 

医師法7条 e-Gov法令検索

自己破産をしても医師を辞める必要はない

前述の通り、医師は自己破産による資格制限を受けないため、原則として医師を辞める必要はありません。勤務医であれば、給与収入を得ながら生活を再建することも当然可能です。

病院を自己破産を理由に解雇される可能性は低い

自己破産をしたという理由だけで、勤務先の病院や医療法人から解雇されるわけではありません。これは労働者として守られているためです。

労働契約法第16条では、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない解雇は、権利の濫用として無効になると規定されています。

自己破産は、法律で認められた手続きであり裁判所の決定で行われる正式なものです。ですので、医師としての診療能力や資格を失わせるものではありません。そのため、自己破産の事実だけを理由とした解雇は、合理性や相当性が認められない可能性があります。

参考:労働契約法第16条|e-Gov法令検索

自己破産とは

自己破産とは、借金問題を解決するための方法のひとつです。返済不能となった借金を法的に整理するための手続きであり、一部の負債をのぞいて返済義務がなくなるというものです。医者は収入が高い職業のひとつとされていますが、収入額や職業だけを理由に自己破産を利用できなくなるわけではありません。

債務整理の方法のひとつ

自己破産は、任意整理や個人再生などと並ぶ債務整理の方法のひとつです。

高収入の医師であっても債務整理をすることができます。例えば、債務額や毎月の返済額が大きく、収入や財産だけでは返済を続けられない場合は、自己破産を申し立てることが可能です。

例えば、次のようなケースが考えられます。

・クリニックの経営が悪化した

・開業資金の返済が困難になった

・高額な医療機器のローンやリース料を支払えなくなった

・医療法人の借金を院長個人が保証していた

・不動産投資や住宅ローンによる借金が増えた

・収入が減少し、生活費や教育費の支払いが困難になった

そして、自己破産をしても、生活に必要なすべての財産を失うわけではありません。一定の現金や家財道具など、生活再建に必要な財産は手元に残せる可能性があります。

一方、税金、社会保険料、一定の損害賠償請求権などについては、免責許可決定を受けても支払義務が残る場合があります。

自己破産以外の債務整理の方法もある

借金問題の解決方法は、自己破産だけではありません。収入、財産、債務額、クリニックの経営状況などによっては、任意整理や個人再生が適している可能性があります。

任意整理は、弁護士が債権者と交渉し、将来利息のカットや返済期間の見直しを目指す方法です。裁判所を利用せずに手続きを進められるのが特徴です。

医師は一般的に給与や収入が高いため、借金の総額によっては、任意整理で解決できる場合があります。

個人再生は、裁判所の認可を受けた再生計画に基づいて借金を減額し、原則として減額後の債務を分割で返済する手続きです。安定した収入があり、住宅などの財産を残したい人に適しています。

ただし、個人再生には債務額などの利用条件があります。開業医は事業上の借金が高額になりやすいため、個人再生を利用できないケースにも注意が必要です。

医師が自己破産した場合の影響

医師が自己破産した場合、医師免許そのものへの影響はありません。ですが、財産や信用情報、クリニックの経営に影響が生じる可能性があります。ここでは、勤務医と開業医で異なる、自己破産をした場合は注意点について整理します。

勤務医と開業医で影響が異なる

医者が自己破産をした場合の影響は勤務医と開業医で異なります。

医師免許には影響がないという点は働き方によって変わりませんが、勤務医より開業医の方が仕事に与える影響が大きくなる傾向があります。

勤務医の場合:職場に知られる可能性

勤務医の場合は、病院や医療法人から受け取る給与が主な収入となります。自己破産後も勤務を続けられるため、給与収入を得ながら生活を再建することが可能です。

破産手続開始決定後に受け取る給与については、新たに取得した財産として生活費に使用できるため生活の再建はしやすくなるでしょう。

ただし、職場に知られるリスクはゼロではありません。

勤務医が自己破産しても、勤務先の病院に裁判所から自動的に通知されるわけではありません。病院が債権者になっておらず、給与の差押えなども行われていない場合は、破産手続を通じて職場に知られる可能性は高くないと考えられます。

ただし、次のようなケースでは、自己破産や借金の問題を勤務先に知られる可能性があります。

・病院や医療法人から借入れをしている

・給与の差押えを受けている

・官報の情報を勤務先の関係者が確認した

知られる可能性は決して高くありませんが、ゼロではないことは知っておきましょう。

開業医の場合:融資が難しい期間ができる

一方、個人開業医の場合は、生活上の借金とクリニック経営による借金を同じ個人が負っている可能性があります。その場合、医療機器、診療報酬債権、クリニックの建物や土地、事業用口座なども、破産手続の対象になる可能性があります。

例えば、医療機器がリース契約の場合、契約の終了によってリース会社から返還を請求されることがあります。診療に必要な設備を利用できなくなれば、クリニックの経営や診療を続けることが困難になる可能性もあります。

ただし、院長が法人の借金や医療機器のリース契約について連帯保証人になっている場合、法人が返済できなくなると院長個人に請求が及びます。この場合は、法人の破産と院長個人の自己破産を一体的に検討する必要があります。

また、自己破産をすると、個人信用情報機関に事故情報が登録されます。一般的に「ブラックリストに載る」と表現される状態です。

信用情報が登録されている「ブラックリスト」と呼ばれる間は、次のような契約の審査に通りにくくなります。

・銀行や日本政策金融公庫などからの融資

・医療機器のローンやリース

・住宅ローンや自動車ローン

・クレジットカードの新規契約や更新

・カードローンなどの借入れ

ブラックリストは一生続く物ではなく自己破産をしてから一定期間が経過すると消えるため、いずれは上記のような契約もできるようになると考えられます。

クリニックで多額の資金が必要になって融資を受ける場合に影響が出る可能性があります。

医師が自己破産する場合は弁護士に相談を

医者が自己破産する場合はクリニックの経営、医療機器、診療報酬、患者や従業員への対応といった問題が生じる可能性があります。

自己破産を考えている場合は弁護士に相談するほうがいいでしょう。

適切な債務整理のアドバイスを受けられる

借金問題を弁護士に相談すると、借金や収入、財産、法人との関係などを調査した上で、自己破産、任意整理、個人再生のいずれが適しているかについてアドバイスを受けられます。

そして、弁護士に自己破産手続きを依頼した場合は、必要書類の案内、申立書の作成、債権者への連絡、裁判所や破産管財人への対応などのサポートを受けることが可能です。

また、守秘義務があるため弁護士から情報が漏れることはありません。

法律事務所の中には、電話やメールによる問い合わせ、初回無料相談などのサービスを行っている事務所もあります。医師や医療法人の破産事例を扱った実績があるかを確認して、相談できる弁護士を探すとよいでしょう。

まとめ

医者が自己破産しても、自己破産だけを理由に医師免許が剥奪されることはありません。医師は自己破産による資格制限の対象ではないため、破産手続中や免責許可決定後も医師として働き続けることが可能です。

ただし、自己破産をすると一定の財産が処分され、信用情報にも影響が生じます。開業医の場合は、クリニックの経営に影響する可能性があります。

医師は比較的収入が高い職業であるため、任意整理や個人再生によって解決できるケースもあります。どの手続きが適しているかは借金額や収入、財産、クリニックの経営状態によって異なるため、借金返済が困難になった場合は早めに弁護士へ相談しましょう。

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