個人再生と自己破産の違いとは?メリット・デメリットと選択時の注意点を徹底解説
借金問題の悩みを誰にも相談できずに一人で悩まれている方は少なくありません。中には、自分の問題だからとすべてを一人で抱えてしまっている方もいらっしゃいます。しかし、問題を一人で抱え続けてしまうと冷静な判断ができないため、問題が深刻化してしまうことも珍しくありません。
だからこそ、専門的な知識を持つ第三者への相談が大切になるのです。借金問題を専門家に相談すると聞くと、自己破産をイメージされる方は多くいらっしゃいます。しかし、借金問題の解決方法は自己破産だけではありません。
今回は、個人再生と自己破産の違いについて解説します。本記事を読めば、個人再生と自己破産の違いが分かるだけでなく、それぞれのメリット・デメリット、選択時のポイントが分かります。借金問題で悩まれている方や、一人で問題を抱えてしまい身動きができずに苦しんでいる方は、ぜひご一読ください。
目次
個人再生と自己破産に関する基礎知識
個人再生と自己破産は、どちらも借金問題の解決において重要な制度です。では、2つの違いはどこにあるのでしょうか?これらを知るためには、債務整理制度について理解したうえで、それぞれの制度を見ていく必要があります。
まずは、債務整理と「個人再生」「自己破産」の概要を見ていきましょう。
債務整理
さまざまな事情により借金の返済が難しくなることがあります。このような状態で無理に返済を続けてしまうと、日常生活を送ることも難しくなります。そのため、借金問題に悩む人を救済する制度が用意されているのです。これらを総称して債務整理と呼びます。
なお、債務整理には「任意整理」や「個人再生」「自己破産」など複数の方法が存在し、状況に合わせた選択が可能です。
債務整理を利用すると、借金の返済が難しくなった場合でも、借金の減額や免除、返済猶予などを受けることができます。この債務整理制度があることで、借金で苦しむ人も新しい生活をスタートすることができるのです。
個人再生
債務整理の選択肢の1つが「個人再生」です。個人再生の大きな特徴は借金額が減額されることにあります。減額と聞くと、少しくらい減額されても問題は解決しないと思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、個人再生は借金総額を5分の1に減額できるため、大きな効果が期待できます。
仮に500万円の借金があれば、返済総額を100万円にすることができるのです。ただし、注意しなければいけないポイントがあります。それが、原則3年間で分割返済する必要がある点です。
個人再生を申請して、裁判所から再生計画の認可決定を受ければ、減額された残りの借金を3年かけて支払うことで支払い義務はなくなります。
また、個人再生は住宅やローンがない車、生命保険を残せる点も大きな特徴です。個人再生は、基本的に財産が処分されることがないので、自宅や車などを手元に残すことができます。住宅ローンが残っている場合は「住宅資金特別条項」を利用すると住宅ローンの返済を継続していくことで残すことができます。そのため、持ち家や車などの財産を処分したくない方におすすめの制度です。
自己破産
債務者が支払い不能状態になり、最終的に借金を免除してもらうために用意されている制度が自己破産です。裁判所に破産を申し立て、所有する財産を債権者に公平に分配することで残りの債務が免除されます。
基本的に、所有する財産を失うことになるので、債務整理の中でも最終的な手段として認識されています。ただし、自己破産しても全財産を失うわけではありません。なぜなら、すべての財産を失うと、その後の生活が送れなくなるからです。そのため、一定の財産は破産者の手元に残されることが認められています。
個人再生と自己破産の違い
個人再生と自己破産は、どちらも債務整理における選択肢の1つです。では、2つの違いはどこにあるのでしょうか?
ここからは、個人再生と自己破産の違いを見ていきましょう。
圧縮と免除
個人再生と自己破産の最も大きな違いが「債務圧縮」と「債務免除」です。個人再生は、あくまで借金を減額する制度であり債務圧縮にあたります。一方の自己破産は、生活再建のために認められている一定の財産以外の所有財産を失う代わりにすべての債務が免除される制度です。
違いが圧縮と免除にあると聞くと、多くの方は免除を選択しなくなるでしょう。しかし、選択時には他の違いを理解しておくことも大切です。引き続き、個人再生と自己破産の違いを見ていきましょう。
免責不許可事由
免責不許可事由の有無にも違いがあります。免責不許可事由とは、債務を免責してもらうための要件です。
実は、自己破産には免責不許可事由が存在し、代表的な不許可事由にはギャンブル等が原因で借金が増えてしまったケースが該当します。他にも、不当な債務負担行為や特定の債権者への利益がある支払い行為も該当するので注意が必要です。
もちろん、免責不許可事由が存在しても自己破産の手続き自体はできます。ただし、免責されなければ返済義務が残るので問題を解決することはできません。注意点としては、免責不許可事由があっても裁量免責が認められるケースがある点です。そのため、免責不許可事由があった場合も、すぐに諦めるのではなく弁護士などに相談してから判断するようにしてください。
一方、個人再生においては免責不許可事由のような規定が存在しません。免責不許可事由の有無も2つの違いになるので覚えておきましょう。
資格制限
自己破産すると、制限を受ける資格が存在します。代表的な資格は下記の通りです。
・士業関係(弁護士・弁理士・司法書士・税理士・行政書士・宅地建物取引士など)
・公的な資格(公証人・国家公安委員会の委員・教育関係の委員など)
・他人の財産を扱う資格(警備員・生命保険募集人など)
自己破産すると、上記の資格は制限を受けます。そのため、士業を生業とする方や、保険の外交員、警備員は仕事を続けられなくなる可能性があるので注意しなければいけません。また、資格制限は破産手続きが開始された時点から始まるので、その点も覚えておきましょう。
なお、資格が制限される期間は免責が認められるかどうかで変わります。免責が認められた場合は、自己破産の手続きが完了した段階で資格制限は解除される一方で、免責が認められなかった場合は基本的に手続き開始から10年間で制限がなくなります。2つの違いは決して小さくないので、自己破産を検討している場合は専門家である弁護士に相談したうえで判断しましょう。
一方の個人再生は資格制限されることはありません。そのため、該当する資格保有者は個人再生を選択するのも1つの方法です。
残すことができる財産
自己破産すると、破産管財人により所有財産は処分され債権者に分配されます。一方で、個人再生の場合は原則的に自宅や車などを含む財産が処分されることがありません。
住宅や車が残るのかどうかは、その後の生活に大きな影響を与えるため、この違いも理解しておきましょう。
手続き期間
個人再生と自己破産は手続き期間も違います。目安となる手続き期間は下記の通りです。
・個人再生
3か月から1年程度
・自己破産
6か月から1年半程度
ただし、どちらの場合も状況や事情により手続き期間が変わるため、あくまで上記の期間は目安として覚えておきましょう。
個人再生と自己破産のメリット・デメリット
ここまで個人再生と自己破産の違いを解説してきました。ただし、違いが分かってもどちらを選択すればいいのか悩まれる方もいらっしゃるでしょう。そこで、ここからは個人再生と自己破産のメリット・デメリットを解説していきます。
個人再生のメリット・デメリット
個人再生における主なメリット・デメリットは下記の通りです。

個人再生の大きなメリットは住宅や車などの財産を残しながら借金を大幅減額できる点です。一方で、整理する債権を選べないことは大きなデメリットといえるでしょう。整理する債権を選ぶことができないので、親族や友人から借金している場合は債務整理の事実が知られることになります。
自己破産のメリット・デメリット
自己破産の主なメリット・デメリットは下記の通りです。

自己破産すると借金は全額免除されます。また、生活に必要な財産を残すことができるので、生活を立て直しながら新しいスタートを切ることが可能です。さらに、生活保護受給者や無職の方も利用できます。基本的に、無職の方が個人再生を利用することは難しいため、これは大きなメリットといえるでしょう。
一方のデメリットは、一定以上の財産が処分される点にあります。自宅や車を失う可能性が高くなるので、その点を考慮しておきましょう。また、免責不許可事由と資格制限がある点も見逃せないデメリットです。特に、資格制限を受けると仕事を継続することが難しくなるケースも考えられるので、その後の生活を見据えた上で慎重に判断しなければいけません。
個人再生と自己破産のどちらを選ぶべきか?
個人再生と自己破産のメリット・デメリットが分かっても、どちらを選択すればいいのか分からずに悩まれている方もいらっしゃるでしょう。実際、どちらを選んだ方がいいのかは、状況や借金総額によって変わります。そのため、後悔しないためには弁護士などの専門家に相談してアドバイスを受けることが重要です。
弁護士に相談すれば、状況に合わせたアドバイスを受けられるだけでなく、その後の生活を見据えたアドバイスを受けることもできます。
さらに、弁護士に手続きを依頼すれば必要書類の作成だけでなく、裁判所とのやり取りも代行してもらえるので生活の再建に集中することが可能です。少しでも不安がある方は、無料相談を活用して相談してみましょう。
なお、個人再生と自己破産を選ぶ際に、もう1点理解しておきたいことがあります。それが、個人再生後に自己破産に切り替えることができるのか?ということです。
個人再生すると、借金は減額されますが無くなるわけではありません。そのため、減額された借金の返済は続けていく必要があります。ただし、さまざまな事情により返済が難しくなってしまう場合もあります。このような場合は、個人再生から自己破産に切り替えることが可能です。しかし、自己破産できないケースもあるので切り替えられるからという理由だけで個人再生にしておくという選択は避けてください。
何度もお伝えしているように、ここでの選択が、その後の生活に大きな影響を与えます。だからこそ、慎重に判断しなければいけません。後悔しないためには、専門家からのアドバイスが重要になることは忘れないでください。
まとめ
個人再生と自己破産は、どちらも債務整理における選択肢の1つです。自己破産は債務が免除されるのに対して、個人再生は借金が減額される制度になります。言葉だけで見ると、免除に魅力を感じるかもしれません。
しかし、借金が免除される自己破産は一定以上の所有財産が処分されるため、自宅や車を失うことになります。一方の個人再生は基本的に財産が処分されることはありません。そのため、自宅や車を残したまま借金を減額することができます。
どちらを選択するのかは、状況や個人の希望により変わるため、安易な選択は危険です。ここでの選択が、その後の人生に大きな影響を与えます。後悔しないためにも、弁護士などの専門家に相談してから判断するようにしましょう。
債務整理は、債務者が生活を再建して新たなスタートを切るために用意されている制度です。新しい生活を納得できる形でスタートさせるうえでも、準備は非常に大切になります。
弁護士に相談すると聞くとハードルが高く感じるかもしれません。中には、費用面で不安を感じている方もいらっしゃるでしょう。しかし、無料相談を実施している事務所は多く存在します。まずは無料相談を実施している事務所を探すことから始めてみましょう。
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